猫の高齢化問題 =シニア猫に必要な介護とは=

猫ちゃんの部屋
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猫の平均寿命は約15歳となっており、人間のおよそ4倍のスピードで年を重ねていく動物です。

一般的に7~8歳を過ぎた頃から老化が始まると言われており、12~13歳を過ぎたあたりから介護が必要になることが多いようです。

猫の年齢階層は、0歳の幼年期・1~6歳の成年期・7歳以上の高齢期の3つに大きく区分されますが、一般社団法人ペットフード協会の「令和元年(2019年)全国犬猫飼育実態調査」によれば、猫の飼育頭数のうち7歳以上の猫が46.0%と半数近くを占めており、このうち7~9歳の猫は15.6%、10~12歳の猫は13.2%、13歳以上の猫は17.2%という結果になっています。13歳以上の猫は年々増加傾向にあり、私たち人間社会と同じように猫の世界でも確実に高齢化が進んでいるということが見て取れます。

ちなみに、「家庭動物(犬猫)の高齢化対策」(東京都家庭動物愛護協会会長・須田動物病院院長)によりますと、1980年(昭和55年)の犬猫の平均死亡年齢は3~4歳でした。

避けては通れないあなたの大事な猫ちゃんの高齢化問題。高齢になると介護が必要な場面が増えていくこととなります。体力的にも精神的にも大変厳しい問題であることは私たち人間の介護と同じなのです。

既に猫ちゃんの介護に直面している方やこれから直面するであろう方が抱く不安を少しでも解消できるようシニア猫の介護に必要なことやその対処法について見ていきましょう。

介護は自立を促すことが何より大切です

あなたがこれまで大事に育ててきた大切な猫ちゃんが高齢になり、食事やトイレ・歩行などが上手に出来なくなったり、必要以上に時間がかかってしまう状況になった場合、あなたはどのような行動を取るでしょうか?

きっと猫ちゃんの手助けをしてあげたくなることでしょうね。

だけど、まだ何とか自力で出来ることまで全てを手助けしてしまうとあなたの猫ちゃんはどんどん虚弱体質になってしまいます。

そのような時は、ギリギリまで根気よく見守ってあげることが大切になります。猫の介護も人間の介護と同様にまずは自立を促すことが基本となることを忘れないでください。

犬とは違い猫の場合は、寝たきり状態になることはほとんどありません。足腰がふらついていても自力で歩きますし、トイレにも行きます。万が一、寝たきり状態になったとしても体重が軽いので床ずれもほとんどできません。

シニア犬に比べるとシニア猫の介護は比較的楽ではありますが、何もしなくてよいというわけではありませんので心構えはしっかりとしておきましょう。

猫ちゃんができることを確認してみよう

介護が必要となって猫ちゃんをサポートするにあたって、猫ちゃんが自力で出来ることをまずは確認することが大切になります。自力で出来ることは時間がかかってもなるべく自力でやらせてあげましょう。

上手に出来なかったり、時間がかかるからといって決して叱ってはいけません。それらを解決できる環境を整えてあげるなどサポートしてあげることが必要となります。

シニア猫の介護のポイントは、最後まで猫らしい生活を送らせてあげることです。猫らしい生活とは、自分で食べる・歩く・排泄をすることができ、飼い主であるあなたとコミュニケーションがとれる生活です。

高齢になると出来なくなってくること

高齢になった猫ちゃんはこれまで当たり前のように出来ていたことが徐々に出来なくなっていきます。例えば、

  • トイレまで我慢が出来なくなって途中でお漏らしをしてしまう
  • 意味もなく部屋の中をウロウロと徘徊してしまう
  • ちょっとした段差を昇り降りするのに時間がかかってしまう
  • 耳が遠くなり飼い主のあなたの声ですら聞こえづらくなってしまう

などがあげられます。

これまで出来ていた様々なことが徐々に出来なくなっていく猫ちゃんの姿を見ることはとても心が痛むことです。だけど、決して悲しまないでほしいのです。

また、介護が必要になったからといって過保護になり過ぎるのは問題です。自力で歩けるのに抱っこしてあげたり、自力で食べられるのに食べさせてあげたり・・・。シニア猫は動作がゆっくりで何をするにしても時間がかかるため手伝ってあげたほうが早く済むかもしれませんが、シニア猫は使わない機能はどんどん衰えてしまうので、その結果、老化を早めてしまうことになりかねません。

猫が自分できるようにするにはどうしたらよいかを考え、サポートするのが基本です。たとえばトイレを失敗するようなら、寝る場所の近くにトイレの位置を移動したり、トイレの数を増やしたり、トイレへの段差をなくしたりなど、トイレに入りやすくなるための工夫を考えます。

あなたの猫ちゃんが自らの力を振り絞って出来たことを褒めてあげながら、これまで以上にたくさんの愛情を捧げてあげてください。

きっと猫ちゃんは生きる力を得ることとなるでしょう。

猫ちゃんが出来ないことは手助けしてあげよう

介護には自立を促すことが何より大事だとお話してきました。

だけど、猫ちゃんがどうしても出来ないことは手助けしてあげることも必要です。手助けすることで猫ちゃんがこれまでと同じように生活してもらうことを心掛けましょう。

ソファーに座っているあなたの横で過ごすことが好きだったのであれば、猫ちゃんのために小さな階段を用意してあげたり、お漏らししないようにトイレの数を増やしてあげるなど、実際に手を掛けないやり方でもサポートしてあげることは出来ますね。

「食事」・「歩行」・「排泄」をサポートする

手助けが必要となると言ってもどのように手助けすればいいのか具体的に分からないかもしれませんね。

ここでは生きていくうえで必要不可欠な「食事」・「歩行」・「排泄」についてサポートするうえでの”コツ”をご紹介します。

高齢になったあなたの猫ちゃんのペースに合わせながらサポートしてあげてくださいね。

「食事」をサポートするコツ

シニア猫は咀嚼力が低下しており、歯も弱くなっています。そのため硬いドライフードなどを食べることは難しくなってきます。

食事の内容や量、回数について

シニア猫の食事には、「シニア用」などのシニア猫が食べやすいように調整されたフードを選んであげてください。また運動量が低下しますので、食事量も徐々に減らしていき肥満を予防しましょう。

食事は生きていくうえで欠かせないもの。だからこそ自力で食べることができなくなってしまったら飼い主が食べさせてあげることが必要になってきます。

一度にたくさん食べられなくなったシニア猫であれば、少量の食事を何回かに分けて与えてあげましょう。また、新鮮な水がいつでも好きなだけ飲めるように用意することも忘れないでください。

口腔内の病気の可能性も

食べにくそうにしていたり、食事をポロポロとこぼすなどしていたら口腔内の病気が疑われます。食欲はあるのに歯周病や口内炎のため食事が摂れない猫ちゃんほど悲しいものはありません。柔らかく咀嚼しやすいものや、食べ物のニオイが感じられるように食事を人肌程度に温めるなどひと工夫してあげてください。

老化が原因ではなく何らかの病気で食欲不振になっている可能性もありますので、食欲そのものが低下した場合には、かかりつけの動物病院で検査してもらいましょう。

「歩行」をサポートするコツ

犬とは違い猫の場合は、外での散歩は必須ではありません。しかしだからと言って「歩行」のサポートが必要ではないということではありません。

高齢化による筋力の低下や病気などによって猫ちゃんが自力で歩けなくなった場合は、介護が必要になります。私たち人間と同じように、猫も歩いたり運動したりしなければどんどん筋力が衰えてしまいます。寝たきり状態になってしまうと、床ずれを起こしてしまう可能性もあります。

一緒に遊んであげる

シニア猫は体を動かすことが億劫になりがちです。そんなときは毎日10分程度で構いませんので遊びに誘って体を動かすようにしてあげてください。

体に触ってあげる

シニア猫はグルーミングの回数が減ってしまいます。体を清潔に保つとともに、血行をよくするために毎日マッサージやコーミングをしてあげるとよいでしょう。

汚れが目立つようでしたら蒸しタオルで拭いてあげてください。体が完全に乾くまで室温を上げることも忘れないでくださいね。

寝たきり状態のシニア猫にはマッサージをしてあげる

万が一、あなたの猫ちゃんが寝たきり状態になってしまった場合には、積極的にマッサージをしてあげましょう。

寝たきり状態になると骨格や関節の機能が低下してしまい体は常に緊張状態に陥ります。そんなときはマッサージを行って血液の流れをよくしてあげましょう。マッサージは血行を促進するだけでなく、四肢のむくみをとるといった効果もあります。

  • ストローキング 手のひら全体で包み込むように毛の流れに沿って撫でることで適度な圧力を加えてあげる
  • 円マッサージ 指の腹で円を描くようにマッサージをしてツボを刺激してあげる
  • ニーディング 指の腹で軽くつまんであげる
  • 指圧 指の腹で垂直にツボを押して強く刺激してあげる

これらのマッサージは1回あたり15分を目安に行うと効果的です。

ただし、猫ちゃんの体調が悪いときや嫌がっている素振りがあるときは無理をせずにマッサージは控えましょう。

「排泄」をサポートするコツ

私たち人間と同様に猫も年を取れば足腰の筋力が弱くなります。足腰の筋力が弱くなると、トイレの段差を登れなくなったり、思うように歩けなくなるため、トイレまで歩いて行くことが面倒になってしまいます。

トイレに行くことが面倒になると、トイレとは違う場所で排泄してしまうこともあります。また、歩くスピードが遅くなるため、トイレの場所が遠いところにあると、トイレに間に合わずに粗相してしまうこともあります。

他にも病気や老化・痴呆などによって排尿がコントロールできなくなり粗相をしてしまうこともあります。

このような場合は、トイレの数を増やしてあげたり、トイレまでの道のりに段差をなくすなど猫ちゃんがトイレを使いやすいように配慮してあげてください。

また、高齢になると体が気温の変化に適応しにくくなりますので、部屋の中の寒暖差を小さくし、寝床にはすきま風が当たらないようにするなどの工夫が求められます。

寝たきり状態で自力で排泄ができる猫ちゃんには

寝たきり状態で自力で排泄ができる猫ちゃんであれば、ペットシーツやおむつを使うことでその場で排泄させてあげましょう。

猫用のおむつがない場合は、人間の赤ちゃん用のおむつでも代用できます。その際には、尻尾を通せる穴をおむつに開けてあげてください。

寝たきり状態で自力で排泄ができない猫ちゃんには

寝たきり状態で自力で排泄ができない猫ちゃんの場合には、尿毒素を避けるためにも圧迫介助で膀胱を刺激することが必要です。適切な圧迫介助を行うためにも、事前に動物病院で指導してもらいましょう。

また、自力でトイレまで行けない猫ちゃんは、肛門周辺を清潔に保ってあげる必要があります。特に長毛種の猫ちゃんは、肛門周辺の被毛を短くカットしておくとよいでしょう。

排泄が終わったらペット用のウエットシートなどで体を拭いてあげたり、局部をシャンプーしてあげて清潔にしてあげましょう。

介護を続けるためには無理をしてはいけない

犬の介護と比較すると猫の介護は、体が小さいこともあり肉体的負担は小さいと言われています。しかしながら、精神的負担に大きな違いはありません。

あなたの大切な猫ちゃんであっても介護が長く続くと、飼い主であるあなたが心身ともに疲れてしまうこともあります。

あなたの大切な猫ちゃんの介護のために、あれもしなくてはこれもしなくてはと自らを追い込んだ精神状態で介護してはいけません。介護に無理をしてしまうとあなた自身の体力や気力が持ちません。

あなたの猫ちゃんも、あなたやあなたの家族が自分のことで苦しんでいる姿よりも、いつもと変わらない笑顔を見ていたいことでしょう。

介護に疲れたり、悩んだ場合は遠慮せずに家族や友人、獣医師さんなどに相談しましょう。きっと気持ちが軽くなりますよ。また、介護施設や介護グッズを利用したりすることで、飼い主であるあなた自身が心に余裕を持って介護に臨みたいですね。

介護の様子を周りの人たちに伝えてみよう

私たち人間の介護と同様に猫ちゃんの介護も「食事」・「歩行」・「排泄」などとても労力のいることです。あなた一人で抱え込み気分が滅入ってしまうこともあるでしょう。

そのような時は、あなたの周りの人に猫ちゃんの介護の様子を話してみましょう。家族や友人・職場の人など誰でも構いません。SNSで猫ちゃんの介護のことを発信してみることもいいでしょう。あなたに共感してくれる人やアドバイスをしてくれる同じような経験をした人がきっと現れることでしょう。

老猫ホームやペットシッターを活用しよう

介護が長く続き、肉体的にも精神的にも疲れてしまった、あるいはこのままでは自分がもたないという状況になることもあるでしょう。そんな時は、老猫ホームや猫用のデイサービスを利用を検討してはいかがでしょうか。

もしあなたが仕事をしているのであれば日中の介護について悩むことでしょう。大切な猫ちゃんのことですから自分で面倒を見てあげたい、見なければならないという気持ちになってしまってもおかしなことではありません。

しかし、先ほどもお話しましたように介護は決して無理をしてはなりません。自分で面倒を見てあげることができないのであれば、思い悩まず老猫の介護に熟練している老猫ホームやペットシッターなどの活用も検討しましょう。

飼い主であるあなたやあなたの家族が猫ちゃんの介護の負担で疲れ切ってしまっては本末転倒です。猫ちゃんが最後に頼りに出来るのはあなたとあなたの家族だけなのです。

介護グッズも活用しよう

最近では猫用の便利な介護グッズもたくさん販売されています。「食事」・「歩行」・「排泄」などの介護グッズを活用することできっと猫ちゃんの介護が時間的にも体力的にも楽になるはずです。

それはあなたの笑顔にもつながるはず。ですから猫ちゃんのためにも積極的に介護グッズを活用しましょう。

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