あなたが飼っているワンちゃん。家族の一人であるワンちゃん。
どんな犬種ですか。おいくつですか。
男の子かしら。女の子かしら。
ここでは、あなたの家族の一人であるワンちゃんのかかりやすい病気について見ていきます。
ワンちゃんがかかりやすい病気は?
ワンちゃんがかかりやすい病気は何だと思いますか。犬種や年齢によってどのような傾向があるのでしょうか。
まずは下記の表をご覧ください。
この表をご覧いただくと一目瞭然なのですが、どの犬種であろうと何歳であろうと外耳炎がほぼ1位となっているんですね。
どの犬種でも外耳炎にかかりやすいのですが、その中でも特にかかりやすい犬種をあげると耳が垂れているゴールデン・レトリーバーや皮膚が弱いフレンチブルドッグなどとなっています。
次に見て取れる傾向は、皮膚炎があげられます。
ワンちゃんの皮膚炎の原因は多岐にわたります。寄生虫や細菌、ストレス、過剰なシャンプーなどなど。
また1歳未満の子犬では下痢がどの犬種でも上位にあがっています。
子犬は成犬と比べると免疫力や体力が弱いため、環境の変化に弱くストレスを感じやすいためです。ウイルスや寄生虫が原因となることもあります。
最後に嘔吐。こちらもどの犬種・年齢でも満遍なくランクインしています。
下痢と同様にストレスやウイルス、寄生虫が原因となりことが多いです。お口とお尻はどちらも胃腸とつながっていますから、下痢と嘔吐ではその原因が同じとなる場合が多い傾向にあります。
では、次にワンちゃんがかかりやすいこれら4つの病気について、その症状と対処法を見ていきましょう。
ワンちゃんの外耳炎
ワンちゃんの外耳炎の症状
耳は、「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」にわけられ、外耳に炎症が起こるのが外耳炎です。
耳の穴から鼓膜までのあいだを耳道といい、ここに炎症が起こります。
細菌や真菌(カビ)などの繁殖、耳ダニなどの寄生虫、アトピーやアレルギーなどの過敏症、異物混入や腫瘍(しゅよう)などが炎症の原因となるケースがあります。
ワンちゃんの外耳炎の原因
ワンちゃんの外耳炎の原因は、細菌や真菌が耳道や耳垢に繁殖することや耳ダニなどの寄生虫感染、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など様々です。一般的には細菌や真菌が外耳炎の原因となることが多く、これらの場合は梅雨など多湿になる時期に悪化することがあります。
ワンちゃんの外耳炎の治療法
ワンちゃんの外耳炎の治療は、耳の洗浄と同時にその原因となっているものを取り除くことになります。細菌や真菌の繁殖が原因であれば、抗生物質や抗真菌剤を用います。耳ダニなどの寄生虫感染が原因であれば、駆除薬を投与することになります。また、アトピー性皮膚炎などの皮膚病が原因の場合は、それらの治療を行うことになります。症状が軽度であれば一週間ほどで回復しますが、症状が重度になると治療が長期化することもあります。また、外耳炎は慢性化・再発しやすい病気ですから根気強く治療を継続する必要があります。
ワンちゃんの外耳炎の対処法
日頃から耳をこまめに観察し、耳垢がたまっていないか確認しましょう。特に梅雨など多湿の時期は要注意です。動物病院で定期的に診てもらうことで、炎症の早期発見に努め症状を重症化しないようにすることも大事です。家庭で耳掃除をする場合は、皮膚を傷つけたり、耳垢を押し込んでしまうことのないようにしましょう。市販の耳洗浄液を使うと楽にケアできますよ。
ワンちゃんの皮膚炎
ワンちゃんの皮膚炎の症状
ワンちゃんの皮膚病は、犬の病気の中でもよく発症する病気であり、その種類も多く、原因も様々です。皮膚だけに症状があるものから内分泌系疾患の影響で皮膚に症状が現れていることもあり、その症状も軽度のものから重度のものまで様々です。
若齢犬によく発症するアトピー性皮膚炎の症状は、激しいかゆみと皮膚の炎症であり、それらが目や口の周り、耳やお腹、足先など体中に起こりえます。慢性化すると、脂漏性皮膚炎などの二次的皮膚疾患を引き起こしてしまいます。さらに外耳炎や結膜炎などの合併症を引き起こすこともあります。アトピー性皮膚炎のほかに犬の皮膚炎の代表的なものとしてノミアレルギー性皮膚炎があります。ノミアレルギー性皮膚炎にかかると、背中から腰・尾っぽの付け根などノミに噛まれやすい部位に脱毛や赤い発疹が見られます。
ワンちゃんの皮膚炎の原因
ワンちゃんの皮膚炎の原因は、細菌・真菌・寄生虫などの感染、アレルギー、アトピー、内分泌系疾患、遺伝的要因など様々です。またシャンプーや飼育環境の温度・湿度などの環境要因により皮膚のバリア機能や保湿力が低下して発症することもあります。
ワンちゃんの皮膚炎の治療法
ワンちゃんの皮膚炎の治療法は、その原因により異なります。感染症の場合は、その原因に対して有効な薬を投薬します。
例えばアトピー性皮膚炎の治療では、炎症やかゆみを抑えるための薬物療法を基本としながら、同時に皮膚のバリア機能を正常化するために保湿力を高めたり、原因となっているアレルゲンを除去します。
ワンちゃんの皮膚炎の予防法
細菌や真菌が繁殖しないよう温度・湿度を適切に管理し、ノミやダニなどの寄生虫が発生しないよう飼育環境を清潔に保つこと、食物アレルギーの場合はアレルギーの原因物質を食事から除去することが基本的な予防法となります。また、シャンプーやブラッシングなどのスキンケアを正しく行うことも大切です。
ワンちゃんの下痢
ワンちゃんの下痢の症状
ワンちゃんの下痢には、食べ物を消化・吸収する小腸に異常があって下痢が起こる「小腸性下痢」と、水分吸収を行う大腸に異常があって下痢が起こる「大腸性下痢」に大きく2分類されます。
小腸性下痢の場合は、一回の便の量は多いけれど回数はそれほど多くない傾向にあります。便は軟便のこともあれば水っぽいこともあります。小腸に出血がある場合は、便の色が黒っぽくなってきます。小腸性下痢が長期間続くときは、合併症状として体重の減少や嘔吐、脱水などが見られます。
大腸性下痢の場合は、一回の便の量は正常か少なめですが、回数は多くなる傾向にあります。便は軟便であり粘液が混ざっていることが多いため粘り気があります。大腸で出血がある場合は、血便が見られることもありますが、体重の減少はあまり見られません。
特に注意が必要な下痢は、細菌感染やウイルス感染などが原因で起こる下痢です。この場合は、数日にわたって激しい下痢を繰り返し、嘔吐や脱水、発熱などの全身症状を伴います。重度の場合は命に関わることもあります。一般的に嘔吐などの下痢以外の症状が見られない場合は、一過性の下痢で数日で治ることが多いです。嘔吐などの下痢以外の症状が見られる場合は、病院に行きましょう。
ワンちゃんの下痢の原因
ワンちゃんの下痢の原因には様々な要因が考えられます。ひとつひとつ見ていきましょう。
・食事による下痢
過食や高脂肪食を食べた時、食事内容を変更した時、食物アレルギーのあるものを食べた時、腐ったものを食べた時などに起こります。ワンちゃんの下痢の要因としては一番多いです。
・寄生虫感染、ウイルス感染、細菌感染による下痢
回虫などの寄生虫による感染、ウイルスによる感染、大腸菌・サルモネラ菌などの細菌感染によって起こります。
・腸炎や膵炎、腫瘍などによる感染
消化器系の粘膜異常による下痢や腸の腫瘍による下痢があります。
・ストレスによる神経性の下痢
引越しなどによる飼育環境の変化によるストレスから発症する下痢です。
ワンちゃんの下痢の治療法
下痢の原因は上記のように様々ですから、その原因を特定して、それに対する治療を施す必要があります。以下の症状がある場合は便を持参して病院に行きましょう。
- 水っぽい下痢をしている
- 1日に何回も下痢をする
- 下痢に出血が混じっている
- 下痢以外に嘔吐や食欲不振などの症状がある
- 長期間にわたり下痢が続いている
ワンちゃんの下痢の予防法
ワンちゃんの下痢の予防法として、適切な健康管理と食事管理が何より大事になります。下痢を引き起こす原因そのものを予防するわけです。ワンちゃんが乳糖不耐性の場合は牛乳やチーズなどの乳製品を与えないようにする、食事内容を変更するときは少しずつ変える、感染症に有効なワクチンを定期的に接種することなどが大切です。
ワンちゃんの嘔吐
ワンちゃんの嘔吐の症状
ワンちゃんは、空腹時の胃酸過多などが原因で嘔吐することもあるため、決して珍しいことではありません。しかし、嘔吐を繰り返すようであれば、病気の可能性もあります。
ワンちゃんの嘔吐の原因
ワンちゃんの嘔吐の原因として次のものが考えられます。
- 早食いをした
- 空腹時間が長い
- 食事内容や量を変えた
- 消化できないものや刺激物などを食べた
- ストレス
- 内服薬
早食いをして嘔吐してから、また食べているようであれば、それほど心配しなくて大丈夫でしょう。食事を少量ずつ時間差で与えてみたり、早食い防止用の食器を使用してみましょう。
空腹時間が長くなると胃酸がたくさん分泌されるため、胃液を吐くことがあります。朝食の前に黄色っぽいものを嘔吐している場合は、胃酸分泌による嘔吐であることが多いです。この場合も食事を少量ずつ時間差で与えてみてましょう。いつもどおり食事をし、その後嘔吐しなければ大丈夫です。
また病気による嘔吐も考えられます。
- 感染性腸疾患
- 炎症性腸疾患
- 膵炎(すいえん)
- 腫瘍(しゅよう)
- 中毒
- 食物アレルギー
- 腸閉塞
- 腎機能不全
- 肝機能不全
- 脳炎
嘔吐は消化器官の炎症や誤飲による腸閉塞でよくみられます。また、中毒や神経の炎症、臓器の機能不全、脳炎など、嘔吐は様々な病気の症状として起こりえます。
ワンちゃんの嘔吐の治療法
病気による嘔吐が疑われる場合は、一刻も早く病院に行きましょう。勝手な自己判断では取り返しのつかない事態になりえます。
ワンちゃんの嘔吐の予防法
食事による嘔吐の場合は、食事の与え方を工夫しましょう。食事以外で病気が疑われる場合は、ワンちゃんの体に何らかの異常が生じている可能性が高まりますので、病院で検査してもらうことが一番安心できます。
いざというときのペット保険
いかがでしたでしょうか。これらの病気はあくまでもワンちゃんがかかりやすい代表的な病気をあげたものです。上記4つの病気以外にもいつ何時あなたの大事な家族であるワンちゃんが病気にかかるかどうかは誰にもわかりません。
ワンちゃんや猫ちゃんなどのペットの医療費は、公的な保険制度がないため全額自己負担となります。そのため病気によってはとても医療費が高額になることもあるんですね。
そんないざというときのためにペット保険に加入される方が年々増えています。
ペット保険は、ペットの怪我や病気でかかる治療費などの一部費用を保険会社が負担してくれます。そのため自己負担が軽減されるわけです。ペット保険によって細かくオプションをつけることもできますよ。このあたりの保険制度は、私たち人(ひと)の保険と同じ考え方ですね。
※原則として、次の費用は保険対象外となることが多いです。
- ワクチン接種
- 去勢・避妊手術
- ペット保険加入前の治療費
- 健康診断
詳細はペット保険によって異なりますので、補償内容をよく確認しましょう。
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